ひきこもり図書館 森の中

ひきこもり図書館の別館です。色んな思いを書いてみたいです

調べものするということ。本を巡るたび

 


私は読んでみたいと思って、去年亡くなられた精神科医中井久夫さんの本を探した。専門書は高い。図書館にあればなって思っていくつかの図書館をオンラインで検索してみた。そうすると、児童書である「いじめのある世界に生きる君へ」という本が出てくる。というか、それしかない。

なぜかと調べてみると、中井久夫が世の中に知られたのは、彼が体験した阪神淡路大震災で人々の心を助けたからだとわかった。それまでは、知る人が知る統合失調症の治療を変えたきっかけを作った精神科医でしかなった。

でも、名文家として知られ、エッセイはいくつかの随筆集にはあるんだな。密かに文学の世界では読まれてはいたのだ。

今悩んでいる子供向けにと「いじめがある世界に生きる君へ」を最晩年の2016年に書いて自ら出版をうながした。

この本は「いじめの政治学」という論文を元にしている。

出版と構成を頼まれた、ふじもりたけしさんは彼の論文である「いじめの政治学」を、考察した本を出版した人らしい。

彼のこの本のあとがきで、震災の治療に従事していた62歳の中井久夫が、子供時代の戦争中のいじめのフラッシュバックに悩んでいたこと記している。

そして、中井久夫PTSDの具体的な支援を行ってたアメリカのエディス・L・ハーマンの本を翻訳し世に広めたことを教えてくれた。

この本は多くの地震の被害者の治療をうながした。

そして、その後書かれた「いじめの政治学」が、その直後に起こった大津のいじめ自死事件をなんとかしようとした人たちの指針となったことを知った。

正直いって、この本の冷静な分析は、いじめの渦中にある子供に届く内容かなって思うけれど、それを悲しんでいる親や周辺の友達や兄弟には届いてほしいと感じた。

しびれるような考察がわかり易い文章であるのですよ。

 

ドラえもんの意味についての場所とかね。たぶん、彼は藤子不二雄Aの「少年時代」を読んでいると思う。

彼の同時代にはそういった生存を脅かすようないじめがたくさんあった。

そして、今も当たり前にある。それゆえに彼は精神科医になったのであろう。

後で調べたら読みたかった「治療文化論」は別の図書館にあるのを知った。

全集あるのですね。そういえば、その町はかつて大学がたくさんあった。

そういったことを含めて本を巡る旅って面白いなって改めて思った。

探しものは楽しいのだ。